『いつか私もマイホーム』『夢のマイホーム』『憧れのマイホーム』

このようなキャッチフレーズは、誰もが一度は耳にしたことがあると思います。

このマイホームを購入するという行動は、今の時代背景を考慮したときに果たして賢明は判断になるのでしょうか。

今一度、冷静になって考えてみたいと思います。

『マイホーム』というキャッチフレーズに踊らされた日々を振り返る

今から70年~50年ほど前の高度経済成長期においては、日本経済は猛烈な勢いで成長していました。そして、一億総中流、定時昇給といった社会的なシステムが構築されたために誰もが、戦後日本において貧困からの脱出の象徴として、捉えていたのです。

言ってみれば、マイホームは『富の象徴』だったわけですね。

もう一つ重要な点は生産性増大についてです。

家を一棟販売するということは、非常に大きな経済効果が期待できます。多くの雇用を生み出し、多くの企業の利益を生み出す。これは国としても非常に好都合なわけで1960年の流行語にもなった『マイホーム』は国家の一大プロジェクトとして、広められてきました。

『マイホーム』は富の象徴として捉えられ、金のなる木として、日本経済の成長に大きく貢献してきたのです。

我々、日本人は過去に、このような国策、キャンペーンに踊らされて、次々と戸建て住宅を建ててきました。そして、その住宅ローンを支払うために懸命に働き、そして家族を養ってきたのです。

これが、マイホームの歴史になります。

マイホーム主義の考え方は、今だに根強く存在している

マイホーム主義の考え方は、今だに根強く存在している

2000年代に突入し、人口の増加も高止まり、経済成長も鈍化してきました。

経済大国日本の面影は年々薄れてきて、インターネット技術の発展に反比例するように、経済大国の地位をアメリカ、中国に譲る形となってしまいました。

GDPの成長率も鈍化していて、特に、東南アジア諸国との格差が大きく縮まっているところに、日本の現状が垣間見えます。

当然ですが、かつてのような雇用体制や賃金体系を維持するのは難しく、安定的な雇用と定期的な昇給を見込んだ上でのマイホームプランは難しくなってきました。

このような先行き不透明の状況の中でも、マイホームは多くの人にとって憧れの存在です。昔から根付いている考え方を払拭するのは並大抵のことではなく『マイホーム主義』の考え方は、現在も強く根付いています。

マイホーム購入ってメリットあるの??

マイホーム購入ってメリットあるの??

近年、マイホーム購入に対して、かなり否定的な意見やネガティブな情報が出ていることをあなたはご存知ですか?

マイホーム=持ち家ということになりますが、家を所有するということが、どういう事で、何を根拠にそのような否定的な意見が出回っているのかを一つずつ検証してみることにします。

『家賃を払う感覚でローンを払った方がマシ』という考えは危険極まりない

”この手”の話は、不動産屋、ハウスメーカーの営業マンがよくするようです。

「毎月○○万円の家賃を払うのってバカバカしくないですか?家賃を払い続けても、将来何も残りませんよ。マイホームを買えば、将来はそれが資産になりますし、一生住む場所に困りません」

確かにその通りです。ただ、それはあくまで表面上の話になります。マイホームを所有すると住宅ローンの他に様々な費用が発生することを忘れてはいけません。

マイホームを購入したら、定期的なメンテナンスが必要になることを忘れてはいけません。5年~10年、10年~15年、15年~20年、20年~30年と築年数によって手入れをする項目や予算が大きく変わってきます。

築5年~10年では、特に大きな修繕は必要ありませんが、家を長持ちさせて清潔感を保つためにも定期的な清掃はしておきたいところです。

築10年~15年では、クロスの張替え、給排水管の更新、窯業系サイディング材の劣化などが目立つ時期です。日々のメンテナンスにもよりますが、このくらいの時期に修繕のサイクルが訪れます。

築15年~20年では、給排水管や空調関係の設備の痛みや劣化が目立ちだします。内装だけでなく外装も痛みや劣化が目立つタイミングになりますので、目立つ部分を中心にメンテナンスが必要になってきます。

築20年~30年のタイミングでは、大体のメンテナンスが一通り終わっている時期になります。メンテナンスがしっかりとされている住宅は、以降、サイクルに応じて繰り返しメンテナンスを行うことで、住宅の寿命を大きく伸ばすことができるのです。

このように、メンテナンスだけでも定期的な対応が必要になり、金額も1回、数十万~百万単位で必要になります。ハウスメーカーによっては、無償で点検や一部のメンテナンス対応しているケースもありますが、大規模な修繕やメンテナンスをするには自己負担になるケースがほとんどなのです。

次に、固定資産税についてです。

マイホームを所有すると、毎年固定資産税が発生します。

固定資産税は、家屋と土地のそれぞれに税金が発生します。

  • 土地の固定資産税額=課税標準額×税率1.4%
  • 家屋の固定資産税額=課税台帳に登録されている価格×税率1.4%

具体例を一つあげてシュミレーションしてみましょう。

前提条件は次の通りで、土地の評価額2,000万円、家屋の評価額2,000万円とします。

A、土地の固定資産税額の計算について

課税標準額(α)
=土地の評価額×1/6
→2,000万円×1/6
→333万円

固定資産税額
=課税標準額×税率
=α×1.4
=約4.6万円

B、家屋の固定資産税額について

課税標準額(α)
=家屋の評価額
=2,000万円

固定資産税額
=課税標準額×税率×1/2(軽減措置)
=2,000万円×1.4%×1/2
=14万円

A+B=186,000円ということになります。

ここでは簡単な計算式を紹介することだけにしますが、住宅を所有し続ける限り、この固定資産税がかかります。

毎年納める税金もそうですが、納める税金が一つ増えるということが、妙に嫌な気分になったりもします。

販売する営業マンにおいても、ただ単に「毎年固定資産税がかかります」と言葉を濁すのではなく、自社の商品やサービスに自信があるのであれば、そこは具体的なシュミレーションなどを通じてしっかりと案内するべきです。

マイホームを持つということは、固定資産税や維持管理に費用がかかることを理解しておかなければなりません。

ライフスタイルに応じた転居ができない

マイホームを持つことに対してネガティブな意見を持つ人の大半が、転居が自由にできない点をその理由に挙げています。

『腰を据えて』という言葉は、何かに集中して取り組むさまを表していて、マイホームの考え方もそれに近しいものがあります。

腰を据えて、何かに取り組んでいる人は、様々な人から信頼されるように、マイホームを所有して暮らしている人は、信頼されるという不思議な考え方が存在します。

ですが、ライフスタイルや家庭環境、またはその人の収入状況によって住む場所を柔軟に変えることの方が、私は賢い行き方だと思うのです。

子供が独立した後も、広い一軒家に二人で暮らすことや、収入が大きく減ったのに住宅ローンを支払うためにパートを掛け持ちする。

このようなことに何か意味があるのでしょうか。

それであれば、自分自身の生活状況に応じて、住む場所を柔軟に変えられるような選択をした方が賢いと思うのです。

身動きが取れない”蟻地獄”に入る前に考えてみて下さい

私は、マイホーム購入とは”蟻地獄”への入り口に自ら入るようなものだと考えています。

長期間に渡る住宅ローン、不動産を所有する限り発生する税金、自由に転居できない精神的な拘束などによって、一度入ってしまったらなかなか抜け出すことができない、大きく急な斜面が続くことでしょう。

マイホームを所有することが安定だと考えているのであれば、一度立ち止まって冷静に考えてみることをオススメします。

デメリットもありますが、あなたにとってそれ以上のメリットがあるのであれば、マイホームを所有するべきだと私は思います。

ですが、特に何も考えることなく「周りの友人が購入したから」「ハウスメーカーが勧めてきたから」「賃貸だと世間の目が気になるから」といった理由であるならば、それは止めておいた方がよいでしょう。

時代の流れは所有から利用へ変わりつつある

一世代前までは、モノを所有することが富の象徴であり、最高のサービスを受けるために必要な条件でした。

ですが、現代においては人々の考え方が大きく変化してきています。それは所有から利用への変化です。

モノを所有するコト自体が、様々な面で精神的な負担になり、モノを持たないで必要なときにサービスとして利用する、という考え方が浸透し始めています。

車にしても、昔は所有することが当たり前の時代でした。

若者はフルローンを組んで、高級車やスポーツカーを所有して女性をデートに誘い、結婚後、家族ができれば大型のワンボックスカーに切り替える。車は人生のドラマのパートナーとして考えられて、富の象徴でもあったのです。

しかし最近では、カーシェアやカーリースなど車をサービスとして”利用する”人が都心部を中心に増えてきており、”所有する”という概念が薄れてきたように思えます。

映画や音楽も同じです。DVDやCDを買っては集め、コレクションとして飾っていた時代は昔の話。今や月額1,000円程度払えば、好きな音楽や映画を自由に楽しむことができます。

このような時代背景から、家に関しても考えが二極化してきました。

一昔前は「いつか私もマイホームがほしい」という考え方を持つ人がほとんどでしたが、今は、「マイホームは要らない」と考える人も一定数います。

これは「家は持つもの」という固定観念が時代背景とともに薄れてきていて、賃貸としてのサービスを利用するという考え方が、広く一般的になってきていることを表しているのです。

様々なモノに対する考え方が『所有から利用』へ流れていることは、間違いありません。そして時代背景的にもその勢いは加速しています。

私自身、マイホームを購入し所有することはサービスとして存在することを否定するつもりはありません。

それでも、あなたにとって『所有と利用』のどちらが最適なのかについては、冷静にしっかりと考えておく必要があるのではないかと思うのです。